きものを着て生活していると、いろんなことが起きます。例えきものを着ていない時でも、きものに向かってアンテナが立っているので、なにかしら起こります。
きものならではの雑多な出来事、もっときものが好きになれます(?)
● 健康でないと![]()
あっという間に一年が過ぎた。せっかくの年始なのに思い切り風邪を引き、しかも何だか長引いている感じ。かなしい。
とは言ってもせっかくのお正月なので、ママから貰った山吹色のきもの、ところどころ金糸刺繍が入っている華やかなものを着たいなと、大晦日に衣桁に掛けて置いた。
たんすから取り出して衣桁に掛けるだけで、その部屋がそこはかとなく良い香りがする。奥ゆかしい。気分も華やぐというものだ。
朝起きておせちを半月膳に盛りつけ煮しめを温めて食卓に運び、雑煮の準備をして、きものに袖を通す。なめらかな肌触り、ずしっとした重量感、まさに正絹。体調は良くないが気分は少しウキウキし、
せっせと着付ける。
少し、小さいかも。
わたしの記憶にいる母は、いつも丸っこいお体をしていた(今でも)ので、このきものは母が相当若い時のものなのかも知れない。身幅が明らかに足りないので期せずして半襟をたくさん見せる「大正ロマン調」の
着つけになってしまった。ま、いっか。
頭がぼさぼさで「俺だけこんな格好で」と恐縮する連れと「今年も宜しくお願いします」と互いに挨拶をし、いざ朝ご飯。屠蘇も昨夜から漬けて置いたので、しっかりと漢方っぽい味が出ていて美味しい。
サイズが小さいからということだけでなく、なんとなく合わなくて朝食後すぐに脱いでしまったやわらかもの。体調が悪い時には織りのきものの方がしっくり来る。具合の悪い体を優しく抱いてくれるような紬。
やわらかもの、華やかなものを着るには、やっぱり元気が一番。これから梅見、桃の節句、桜、あっちこっちに出かけなくてはならない。今年もたくさん遊ぶためには、健康でないと!!
● 帯を締める
さて、下に書いたやわらかものの帯は何をしようと思案した結果、古着屋で買った赤の袋帯にした。これ初めて締める帯。トイレに行ったりメイクをしたり、
いろんな時間を合わせても、あと一時間以内には家を出たい。電車の時間もあることだし。こんな時、初きものや初帯というのは怖い。着てみるとサイズが合ってなかったり、
形が合ってなかったりして、意外と手間取ることがあるからだ。まあそんなことを言っていると永遠に着られないので、この赤い帯を締めてみる。
古着屋で売っていただけあって、いかにも昔の帯だ。分厚いし重たいし、巻くのが大変。でもまあ要所要所をきっちりやったおかげで、お太鼓の部分にばっちり綺麗な模様が出た。
こんなときは嬉しくて、笑顔も自然に出てくるものだ。必死に締めたのに、肝心の模様がお太鼓じゃないところに隠れてしまったり、後ろ姿は良いが、前に模様が全然来なかったりすると
機嫌が悪くなって、キモチが落ち込んでしまう。
普段名古屋帯ばっかり締めているので、袋帯の大変さが身に染みる。なにしろ重たいし、金箔が入っていると、スって剥げ落とさないようにと神経過敏になる。やっぱり名古屋帯がいーなー、ラクだから。
でも袋帯を締めると気持ちも引き締まる気がするから、これはこれでいいかな?
● やわらかもの2
お年始にと待ち望んでいたやわらかもの、いつもの年なら連れママにいただいたものを着るけど、たまには違うのにしてみようと祖母から貰った
付下げを引っ張り出してみる。もう十数年経っているものなのに、今でもまったく問題なく着られる。淡い色なのでよく見ると汚れがあるけど、
そこまでじろじろ見る人もいないし、大丈夫。娘時代を思い出し、薄桃色の伊達襟を付けると、アラ正装!
さて連れ実家にいざ、と外を歩く。風が吹いても捲れ上がらないし歩きやすい。普段はポリとかウールばかり着ているから気が付かなかったけど、
絹って静電気起きないんだー。捲れないのは重さがあるおかげなのかー?
てろんとした気持ちの良い着心地。たまに着るならやっぱり絹のやわらかものってステキ!うっとり!
● 観月会
横浜三渓園の観月会に行ってきました。古い茶室を前にしてお琴の演奏を聴きながら、月を愛でる。ずいぶんと風流じゃありませんか。なのに、今日の天気予報は曇りのち雨。
酷いーっ。でも、ずっと楽しみにしてたんだもんね、十五夜は年に何度でもあるけど、中秋の名月(には少し早いけど)は、一度しかないもんねということで、向かいました。根岸。
ここ一ヶ月くらいずっと洋服生活だったので、着つけタイムが落ちているかもと思ったけど案外大丈夫だった。今しか着られないお気に入りの葡萄柄単。どうにか雨は降り出さないでいる。
地面に点々と灯るあかりを頼りに、お琴演奏会場に行く。そこはかとなく聞こえてくる音。月は見えないけど、漆黒の中に浮かび上がる古い茶室と演奏の様子は、幽玄そのもの。
あそこの雲が晴れてくれればなあと空を見ると、少しだけ空が明るくなって、月が見え隠れした。あ、月が見えたよ!美しい音色と景色と秋の月。きもの、今着ないでいつ着るんだという風景。
地べたにさっと座れないのは残念だけど、きもので良かった〜♪時間がなかったので付けっぱなしの絽半襟で出かけちゃったけど、夜からだったし暗闇だったのでまあいっか。
本格的な秋冬に備え、夏物と単衣、夏小物を洗って仕舞い、袷と秋冬小物を出そーっと。
● 衣紋の抜き
衣紋の抜き、きものは衿もととこれが決まれば、もう怖いもの無しと思う。
抜きすぎず詰まりすぎず、ほんのり抜けてる女性、目が行ってしまうし、後を追いたくなる(ストーカーか?)。
どういう訳だか圧倒的に、抜けてない人が多い。はしたなさを嫌うってことか?それとも着つけがヘタだから、詰まってきてしまうのか?
Lieはけっこうしっかりと抜く方だけど、夏、首を焼いてしまったような気がして、怖い……。
京都のお母さんは娘に「おなごは首を焼いたらあきまへん」と教えるそうだけど、本当?でも、当たっている。色白の首は大変色っぽいものです。ああ大丈夫かな。
● 一年半前は
整理していたら、去年の正月の写真が出てきた。Lieは連れ親から付下げを、連れはLie親からウールを、お互いに頂いたのでせっかくだからと、自分で着てみた初めてのお正月。
高校の時にたまに家の中で着てたし、友人の結婚式は殆どきもので出席だった(美容院で着つけして貰ったけど)ので「どうにかなるよ、手が覚えてるさ、きっと」と思ったのがアマかった。
きものを着るまで一時間、本に首っ引きで連れに手伝って貰いながら帯を結んで一時間。二時間掛かるなと時間をみていたら、やっぱり二時間掛かった。
写真は酷くヘン。胸を押さえてないから、でかチチで田舎風だし、裾つぼまりになってるのはいいけど丈短く着ているので下品。半襟の付け方がヘタなので衿がへろへろでだらしない。
帯揚げの収まりが雑だから何となく粗雑な感じ。せっかくの付下げが泣いている。ホーント、よくこれで外を歩いたなあ。今じゃ信じられない。この写真、投げ捨てた。
ああ記念に取っておけば良かったな。
その後、胸をとにかく押さえないとスッキリしないなと気が付き、でも和装ブラはダサいし他に転用できないし、何しろ高価だからイヤ。
晒しがいいんじゃないかと思い、それを買うまでの間は伊達締めで胸を押さえていた。けっこうこれでも格好がつくものだ。母から貰った紅型小紋に、大胆にもポリ半幅を締めて外出、
お太鼓が出来ないので、博多献上を半分に折って無理矢理貝の口に結ぶ、いろんなことをやりました。大丈夫、どーせ世間様は、よっぽど崩れてない限り、分からないもんだ。
度胸丸出しで着まくっていたあの日々。ま、こういう下積みがあるからこそ、今があるってことね。
● 羽織とコート
あら、きものの人がいるわと思って嬉しくて見ると、大抵中高年以上の女性。さすが渋い色だなーとか、着慣れているなあーとかほのぼの見ています。
いつも不思議なのは、彼女たちが大抵羽織かコートを着ていること。帯付き姿ってあまり見たことありません。どうして?上着の一枚でも着て外出するのが、たしなみというものなのでしょうか。
それとも大切な帯を守るために着ているんでしょうか。上着の色は殆どが地味な感じ。銀座にでも行けば、いま流行のレトロ調華やか上着が、見られるかも知れません。
梅雨時期や夏でも中高年以上は羽織っている人、多い。暑くないのかなと、他人事ながら気になるのでした。
● 髪飾り
日本橋三越を散歩していたら、あら可愛い髪飾りがたくさん。よく見るとかづら清老舗の出展だった。
さすがやなあ、この色づかい、この質感、この材料。横浜高○屋には、一個何万もする超高級品か、いかにも安そうな樹脂の簪しか置いてなかったのに、素晴らしい品揃え。しかも、\1,500程度から揃っている。やっぱり京都はいいねー。
紫陽花、朝顔、風鈴、金魚の柄の透明な簪、金属ビラが付いて、葵御紋が入っている簪、どれもステキー!頭部モデルが置いてあるので、差してみて様子を確認できて便利。
買っちゃったんです、金属の簪。銀色が涼しそう。和服って少し若いかな?と思う小物でも、わりと大丈夫だったりするから好き!…と自分では思っているけど、周りはどう見ているんだろうか、ひょっとして「なにあの人、若造りでヘンねー」なんて言われてたりして、ドキドキ。
● 靴
週末は、きものなので、週末は靴を履かなくなりましたねえ。
でも何故か下駄箱には靴がいっぱい、入り切らなくて玄関にも置いてある。平日の勤め時は決まったものしか履かない。だったら処分すればいーじゃん。ということで、ゴミの日に捨てました、何足か。これで下駄箱も多少はスッキリ♪
しっかしまー、草履とか下駄に比べると、靴、特にハイヒールって足が痛いねえ。よくもまあ、こんなもん平気で履いてたわ。これで階段降りるのなんて、うるさいし危なっかしいし、閉口。足が呼吸できないのもイヤ。
でもしがない勤め人。いきなり客先に行くこともあるし、革靴じゃないとしょうがない。草履とか下駄が標準にならないかなー。足、気持ちいいのにー。
● 初・自分で着つけの結婚式
結婚式場に着いてから式が始まるまで、あまり余裕が無かった。きもので飛行機は富山旅行に次いで二度目。前回はウールに半幅帯=思い切り普段着だったからラクだったけど、今回はなにしろ礼服。
白の伊達襟付き付下げに袋帯の二重太鼓で白いエナメル(あくまでもエナメル調、だけど)草履なんだもん。まあでも向こうに着いてからがラクだから、自宅から着て行こう。
久しぶりに袖を通す付下げは、重たい。最近ウールとかポリばっかり着ているから、重たく感じる。着心地は良いけど。ヘア、化粧、着つけで一時間を見て置いた。これが大正解。
ゆとりを持って着ることが出来た。やっぱりお祝い事はおっとり系でなくっちゃね。
母から貰った黒の絵羽羽織を纏い、気分はいいところの奥様♪あ、羽織紐を買うの忘れた……。ま、いっか。いざ式場に入るときもの姿の方が多い。さすが関西。羽織袴のおじさまも
いるし、嬉しくなってしまう。あーやっぱり、礼装用のバッグを持ってくるんだったなあ。荷物になるのがイヤで、どうせここまで見てる人いないだろうと、普段使いのバッグにしたのが
悲しかった。留袖、振袖の豪華な方々に立ち混じると、見劣りすることおびただしい。しくしく。
披露宴も無事お開きになり、私も連れも、速攻で着替え室へ。とっととこの堅苦しい礼服を脱いで普段着きものに着替えるんだ!荷物という意味ではきものは本当に優れもの。
畳むと薄く、四角になるので、荷造りがとてもラク。行きに持ってきたボストンに詰め、式場の宅配便受付に出したらもう終了。なーんてラクなのー。宅配便代を払っても、
ヘアや着つけを自分でやっているので、余裕でモトが取れる結婚式きもの。癖になりそう。誰かまた結婚しないかなあ〜。今回悟った礼服で移動する時の心得。
1,こんなに抜いたら舞妓さんだよーっと思うくらい、大胆に衣紋を抜くべし。二重太鼓を完成する頃にはちょうど良い抜き具合になっている。不思議なことに。
2,せっかくの晴れがましい帯。これを守るためにも何か羽織ろう。羽織、コート、ショールなんでもいい。
3,髪型が崩れると、着姿が急速にレベルダウンする。よってワックスかムースは必携。
飛行機や電車の椅子に寄りかかると、お太鼓が背中に当たって痛いんですよね。それをなだめつつ寄りかかると、お太鼓が潰れてショボい感じになってしまうし……
(直せば良いんだけどね)。半幅にして付け替える、二部式帯を使う、いろいろあるけど決定打ではないね。ウーム。
● きもので外湯
行ってみましたよ、きもので有馬温泉の外湯。旅行に行くこと自体は、このところ殆どきものなので、特に新しい気持ちはないんですが、外湯は初体験。
初めに行った銀の湯は、中心部から少し離れていて高台にあったため、お客が少なく
着替えるのにも割とラクだった。鏡独り占め出来たし。だけど次に行った金の湯は、
バス停や観光案内所にほど近く、とても人気の立ち寄り湯なため、かなりお客が多かった。きものの着替えって場所を食うんですね、改めて知った。汚れても大丈夫なポリきもので行ったけど、
着替え所の床にきものの裾を引きずるのは、気持ち的にイヤだった。外湯のはしごをする度、脱いで着替えて太鼓を結んで、というのもかなりめんどうだった。悟りましたー温泉旅行の心得。
1,半幅帯を持参すること
2,浴衣+下駄を持参すること
3,出来る限り空いている時間帯に行くこと
でした。ちゃんちゃん。
● きもので得したかなと思う時
レストランに行くと、なんとなく接客が丁寧になる気がする。店員さんが「ナプキンをお持ちしましたので、膝掛けにお使い下さい」なんて言ってくれる。
本当は要らないんだけどね、汚れ除けのための大判ハンカチor洗えるポリの風呂敷を持ち歩いているから。でもまあお気持ちはありがたくいただこう。
この前行った元町風我亭では、キャッシャーのところで店員さんに「今日はパーティかなにかあったんですか。素敵なおきものだから」なんて言われた。すてきなおきもの!キャーこそばゆい。
Lieが着てるこれなんて、リサイクル屋で\1,000だったウールなのに。「いえ、普段着なんです」すいません、今度来る時には、もう少しいい格好をして来ます。と恐縮しました。
一般人相手で、きものだから得したってことは、うーん何かあったかなあ。大抵相手は喜んでくれるけど、得したっていうのとは違うし。損得は無いんでしょうね、きっと。
● 帯留
帯留って、なんとなく上級者のお洒落って思うんですよ。着つけにも慣れてちょっと冒険してみようかなっていうような。結び目をお太鼓裏に持ってこないといけないから、
前で結んで後ろに回すんだけど、集中しないとこれが難しい。得てして帯留用の帯締って短めに出来ています。これをしっかりと結ぶのが、まず難関その一。油断していると帯締が
手から離れ、せっかく綺麗に形作ったお太鼓たれがパラリと落っこちてしまいます。イライラしながら再度お太鼓を整え、今度はさらに集中してしっかりと結びます。ホッ。
あとはお太鼓の形を崩さないように、帯締結び目を後ろに持っていくだけだわ!と思っていると、帯留の金具が帯をガリガリッとひっかいてるし、ぎゃあああーっ!
帯地が毛羽立つこともなく、無事帯留を体正面に持って来れた時には、思わず笑みがこぼれます。そんなこんなで帯留をしている人に、それ素敵ね!なんて誉めてあげると、
その人からものすごく喜ばれることでしょう(ほんとか?)。
● 匂い
寝室に衣桁を置き、そこで小物の後始末(要は引っかけっ放し)&準備(引っかけっ放しゆえ次着る時にもラク!ああ無精者)をしている。
部屋の一角がきものコーナーになっているのだが、これを始めてから寝室が懐かしい匂いに包まれることになった。なんか、こう、おばあちゃんの家の匂い。きものと一緒に箪笥に入れている
匂い袋の匂いに、薄くなった樟脳、生地自体の匂い……。すごく落ち着く。今はもうおばあちゃんの家は無いので、望むべくもないけど、あの懐かしい感覚だけはここで感じることが出来る。
これが絹、ウール、木綿のきものならバッチリなんですよ。ポリはダメですね。匂いがあんまり移らない。きものは吊しっぱなしにしておくと仕立てが崩れるっていうので、
だいたい体の熱が飛んだら仕舞っています。小物は、ま、いっか状態。でもこういう雅やかなオマケ(?)も付いてきます!
● きもの展
「横浜タカ○○ヤ 大きもの展」に行ってみた。第51回なんだって、何年やっているんだろう。ここのフロアは食堂街に通じる売り場と、ちふれ化粧品やペット屋に通じる売り場の間に段差がある。後者の方が一段低い造りだ。
前者の方に高価な着物や帯、小物を並べて、後者にはリサイクルものを並べる。一段低いフロアに安いものを置くってことかな?このディスプレイも毎度同じだ。なんかどっかで見たようなものばかりで、やや食傷気味。
もっとこう、中央の小舞台で染めの実演をするとか、ファッションショーをするとか、洗える正絹の襦袢や着物特集をするとか、楽な着つけのコツの実演をするとか、なんかないんだろうか。商品を並べるだけじゃ飽きちゃうよ。むー。
● 呉服店催事初体験&店員イヤなバージョン3
センスが好きな銀座のとあるお店から、催事の案内が来た。呉服店の催事=とても買えない価格の品物ばかり+恐くて不快な営業マン(ウーマンかも)+逃げ出しにくい雰囲気というバッドイメージしか
持っていなかったけど、やっぱ何事も経験。それに店の品揃え自体はスキだしと、恐い物見たさで行ってきました催事in銀座。結果、やはり来た来た腹黒営業マンが。お約束のように、彼は洋服スーツ。
初めは和服姿の年輩の女性店員に連れられて、一通り畳敷きの館内を回った。呉服屋のことを○○さんと呼んでいたことから、彼女はおそらくマネキンだろう。いつも思うけど、マネキン→店員→営業マンと
担当が流れ変わっていくのはどうしてなんだろうか?
好きな帯地に好みの絵を描いてくれるという作家が座っている。作家って言ったって、法律で定義されている訳じゃなし、Lieも作家を名乗ったって何の問題もない。営業マンが「作家物ですよ」とか言うが、なにがそんなに偉いのか?
よく分からなかったが、まあここは大人になって静かにしていた。
でもこの作家さんはなかなか良さそうな人だった。訪問着や帯締の模様の位置、客の体型、雰囲気、好みなどを鑑みて、絵柄だけではなく絵の位置や量を考えていると言う。手元の白い紙に、さらさらっと
絵を描いてくれる。聞けば京都西陣に工房があり、織り職人に絵を渡して完成させるとのこと。帯の手の部分にこれ、見えないところにお客さんの名前を入れたら楽しいなど、この作家さんの話はとてもためになって面白く、
彼も乗ってきてたくさん話をしてくれた。そしたら案の定、女店員がお茶でも如何ですかときた。話しているだけでは商売にならんということだろう。この女店員とはソリが合わないんだが、
この呉服屋でのLieの担当者なんだから仕方がない。
坊主憎ければ……じゃないが、初めて見た彼女のきもの姿はだらしない。襟元が決まっていないし太鼓もズレている。さっきの年輩の女性マネキンを見習って欲しいものだ。Lieに向かって
「さすがに普段から着ているだけあって、着慣れていますねえ」と宣い、思い切りましょうよと言う男店員に、さすが営業熱心ですねと返すと「当然じゃないですか」と合いの手を入れるし、ホント熱心だけが取り柄の
彼女だ。さて、作家さんが絵を描いてくれる帯には惹かれたけどちょっと高すぎるし、お茶でもいただいて家に帰ろうと思っていたら、彼女ともう一人ゴツイ男営業マンが立っている。おお二人で来たか。でも負けるもんか!
営業マン「何をそんなに悩んでいるんですか?」
Lie「値段に決まってるじゃないですか」
営「今回は儲けはありません。本当にお買い得です。この値段じゃよそにはありませんし今後は出しません」
Lie(その通りだと思いますに徹する)
だんだん目つきが険しくなってくる二人。いらないって言ってるでしょうと席を立つのは、カッコ悪いし避けたいなあー。今日帰って家族と相談するからと言えば、
営「家族と相談なんて、もし僕なら絶対に買うなって言いますよ。だから相談なんてしてもしょうがないですよ」
展示会は明日までだから、一日ゆっくり考えますよと言えば、
営「あんまり深く考えない方がいいですよ。失礼ですが、普段もわりと迷って一人では決められない方なんですか」
わはははははーっ!Lieは買い物はいつも一人で行くわぁ、このヴォケ!
営「こういうのは出会いものですから、明日またなんて考えるのなら、買うの止めた方がいいです」
女「若い人が着てくれないと、こういう素晴らしい文化も廃れていくんです」←そんなの知るか、ネアンデルタール人だってクロマニヨン人に駆逐されたぞ
魑魅魍魎の跋扈する和服業界、その最たる物が呉服屋の催事。狙い通りエグい二時間でした。きものや帯、またそれを作っている人たちにはなんの咎も無いんですがね。館内には絵描き職人、
東京染め職人という人たちが来ていましたが、彼らの懐には、売価の何%入るんでしょうかね。建築業界にも通ずる不思議な商習慣、製造元から直接買うことは出来ないという事実。
やっぱしこのシステムが、価格アップの元凶だと思うんですよ。このIT時代にねえ、一般人には売ってくれないんだってさ。問屋様を通さないとダメなんだって。
いつか時が来たら、好きな絵を描いて貰った帯を締めたいものです。
余談ですが、館内に袴の男店員がいた。線が消えかかっているよれよれの袴姿だったけど、それでもそれなりに格好良く見えたよ。変な男でもそれなりに素敵に見せてくれる和服。
いたいけじゃありませんか。
● 身のこなし
水商売の女性のきもの姿を見ていると、何というのかキリッとしているのに色っぽくて僅かに隙がある。踊りの人は情感があってしなやかで流れるような感じ。茶道の人ははんなりとして、
静かで、でも隙がない。前をしっかりと合わせて衣紋をしっかりと抜く。これが大人の女性の美しい着姿だと思うんだけど、それだけじゃない。やっぱり「身のこなし」が違うんだなー、一般人とは。
連れに言われてしまった。「Lieの着姿自体は、そういう人たちとそんなに変わらないと思うんだけど、振る舞いが変なんだよ。家の中では良いんだけど、外に出ると
なんか不自然。洋服だと違和感が無いんだけどきものだとイマイチ。動き方が洋服のままなんだよ」
ガーン。自分でも何となく自覚があっただけに、連れに指摘されるとショック。和服でも洋服並みに動けるんだゾと、肩に力が入っていたのかも知れない。特にきもの生活最初の
この一年は。ようやく最近、和服には和服の時間の流れ方があるんだと、スローな感覚を楽しんでいる。急がないのにキリッとした美しい動作、これを何とか会得したいものだ。
● 伊達襟
三が日に付下げを着た時に、せっかくだからと伊達襟を付けてみた。着つけ教室の先生が「3〜5mmで押さえなさい。1cmも出したら下品で許せない」と言っていたので、
なんとか5mm以内に納まるように着つける。着つけ完了して鏡を見ると、おお!いかにも正装って感じで素敵!ほんの5mmの色なのに、素晴らしい効果。
付下げが梅ねず色なので、補色の緑、それとも真っ赤、いやいや赤紅色(深いワインレッド)、どの伊達襟が合うか、事前にきものに当てて選んだ。そうやって迷うのもまた
楽し。せっかく伊達襟するんだから、補色とか派手な組み合わせがいいんじゃないかと思っていたけど、淡い方が上品で、結局顔写りがいいような気がする。
たまには正装(風)もいいな。白の伊達襟、帯締、帯揚を買いに、いろいろなお店(横浜高島屋、横浜そごう、日本橋三越、川崎ヌマヤ、津田屋新宿店)に走った。それほど豪華でない
きものも、小物を工夫するだけで立派な正装って感じになるんだから、ある意味安い。お正月らしさを演出する小物、面積としては小さいのに侮れなくい。楽しいな〜♪
● やわらかもの
普段ウール、紬など硬いものを着ることが多いけど、お正月はやっぱやわらかものでしょう、と連れママにいただいた付下げを着た。ああああやっぱりやわらかものも
ええなあ〜。♪あれは一年前 袖を 通し ハマッていった〜 てろんとした上品で優しい手触り、なめらかで官能的な着心地、再び虜に。
三が日が終わり、付下げはまた来年と仕舞ってから、新春らしい珊瑚朱色地ポリ花小紋袷を取り出し、久しぶりに着てみた。うーん、見た目は正絹と区別付かないけど、
着心地ってこんなにも違うんだ。なんかガサッとしてるし、なんとなく寒い。だけど、これ汚しても大丈夫だもんね。洗濯機でガラガラ洗えるもんね。
どの素材が好きかなんて、一概に決められない。きものならみんな好き!浮気者になってしまうきものの魅力でした。ところで取り敢えず畳んで仕舞ったさっきの付下げ、
上前にぼんやりとシミがあるんだけど、悉皆に出さなきゃ。和服のクリーニングって高く付くから悲しい。んでも一生着られるからいいかと自分を慰めるのであった。
● タマちゃん染め帯
横浜高○屋の新春呉味の市に行った。締めやすくて手頃な値段でお洒落な帯、ないかな〜と見ていると、見つけました。可愛いアザラシが染められている帯。
キャー素敵。こういうの欲しかったんだよね、なかなか無いんだ、こういう遊び心たっぷりなもの。でも値段を見ると今のLieにはやや厳しい数字。
誰か買って締めて見せてくれないかな〜。やっぱり帯は陳列されているより誰かに結んで貰っている方が見がいがあるし。そこへ今年もズレてる業界人(店員)が、嬉しいズレズレ一言。
「これは可愛らしいけど贅沢な帯ですよ。礼装にはダメだしお茶にもいけませんから、お洒落専用の帯ですねー」
礼装の帯、またはお茶の帯よりは比べ物にならないくらい安いよ。普段着にガンガン締められるから、頻度的に十分元を取れると思うよ。箔も入ってないからお手入れもまあまあラクそうだし。
今年も、普段着好きじゃない業界人と普段着好きなLieの間で、いろんなズレ出来事が生まれそうで、今後の書きネタが期待できる一コマでした。
● お正月お出かけ
最近きものが流行ってるというし、今年のお正月はさぞきもの姿の人が多いと思いきや、全然いないじゃん横浜伊勢山皇大神宮。がっくり。人も多かったので、階段上から眺める
さまは、まるで年末上野のアメ横。寒さの入る余地はなさそうだけど、色気を感じる余地もない服の海。うわー全く新年って感じ、しないよ。せっかくのお正月が、これじゃ
単なる連休だよ。つまんないのー。
でも男性の和服姿、見た。横浜そごうと八王子にいた。一日に二人見たから、普段の発見率からすると、無限大倍数になる。羽織姿、格好良かった♪
洋服だから華やかさが無い、和服だから華やかだ ってことじゃない。盆も正月も年がら年中似たようなカテゴリーのファッションである ということがつまんないのだ。
年がら年中、ちょっとお洒落 or 楽な機能オンリーの格好 = イヤ
普段は普通。お洒落する時は目一杯する = 好き
メリハリを愛するアナタ、ぜひ和服を着よう!一緒に四季を追いかけてみませんか?なんちて。
● 着つけ
先日連れの実家に、祖母のきものを着て行ったら「まあ、ステキよ、上手に着てるわねー」「よく似合ってるよ、綺麗だねー」と連れママ&パパに誉めて貰った。
ホント?本当に?嬉しいっ!!
やっぱり襟元かしらね、とても自然になってる。とママが言う。
着始めた頃は、きものに振り回されていたと思う。ミスは衿を詰めて、衣紋もあまり抜かない。ミセスは…。なんてね。アタマで着つけていたんだ。自分の感覚じゃなくて。ま、
慣れてないから、感覚そのものが無かったんだけどね。
あれから十ヶ月余。お下がりの身幅狭め、逆に大きめを工夫しながら着てきた。いろんな本を読んだし、いろんな場所へ行った。さすがにどうしたらラクに着られるか、綺麗に
決まるか、体が自然に覚えていったような気がする。誰かから聞いた言葉。
きものっていうのは、そのままだと布なんだから。着付けることによって初めて衣服になるんだから。
そうか。だから着つけが要るんだ。これが不思議なんですよ、イライラしているとイライラした着つけになるし、ゆったり楽しいと美しく決まるんですね、着姿。これを着て行ったら
あの人はなんて言うだろう、喜んでくれるといいなあ…。
そう思いながら着ると、なかなかいい感じになります。フフフッ自己陶酔?こうやって浸れるのも洋服には無い良いところ。
● 呉服屋を探して
あっちのデパート呉服市、こっちの展示会、そっちのリサイクル屋と、いろんなところを駆けずり回ったせいか、湘南から東京のデパート、リサイクル屋はだいたい見たと思う。
デパートは入りやすいし出て来やすい、品揃えが多く催事もあって楽しい、価格が高く悉皆も高い。やっぱりすぐに行くことが出来て、何くれとなく面倒を見てくれるような頼りがいのある店、
そういうのは呉服屋しか無いような気がしている。
さっそく横浜近辺の呉服屋をネットで調べ、メイン;しっかりと悉皆業をやってくれるか?、サブ;センスのいい物が置いてあるか?の視点で、あちこちの呉服屋に行ってみる。
駅前商店街というから行ってみると、なんとも寂れたお店ばっかり。呉服屋も何だかしみったれていて、何年後には閉店しそうな、勢いに欠けた店ばかり。そうかと思うと、店頭に鉢植えの
花など飾ってあり小物\500セールなんてやっていて、なかなか良さそうと思うのに、例のLieの嫌いな洋服男店員が「それは安いですよ、その値段では売っていませんよ」などとナマイキにも
宣っている(値段だけしかセールストークが無いセールスマンはクビだ!)。また他には、ご夫婦なのか男女の店員さん。しかもお二人ともきもの♪頑固こだわりのハイセンスな商品を置いてあり、ああ買ってみたい
と思う品揃えであるものの、いかんせんお値段がLieのキャパを軽く越えてるという悲しいお店。どうもあちらを立てればこちらが立たずで、“しっかり悉皆+ハイセンス品物”は成り立たない
感じだ。これにLieの経済状態でどうにかお付き合いできるという条件をかけ算すると、「ゼロ軒」になってしまう。一店舗にすべてを求める方がどうかしているんだろう。
ともあれ悉皆だ悉皆。深川江戸資料館の周りには、たくさんあったな「しみ抜き、染め」の看板。きもの好きには厳しい街、横浜+湘南。
あ、そうそうこの深川江戸資料館はお薦めです、楽しかったー。江戸の街が再現されてて、朝から晩までの様子が疑似体験できるの。雨が降ってきたり、鳥のさえずりが聞こえたりするんだよ。きものが自然に馴染む場所です。
● 悉皆2
デパートの悉皆は、どうも値段が高い。馴染みの呉服屋の一軒でも作ろうと思い、ホームページで、感じが良かった呉服屋さんに出向く。
ちょうど今一人一点に限り丸洗い\1,000とかその他お手入れ20%引など、嬉しい企画をしている。呉服屋からするとたいして儲けにならない悉皆、さあどんな感じで引き受けてくれるのでしょうか。
まずは早く綺麗にしたかった三着を持って行き、検品して貰った。
(1)紬;雨シミ、袖口、裾汚れ
「雨の中走って帰って、あとで見たらこんなにシミになっていたんです」
「まあ、せっかくのいい紬なのに。雨は汚れてるのよ、埃とか大気中の物質とか」雨染みは落としにくい、きものをそんな風に扱ったらダメだ、と注意される。ハイ、ごめんなさい。
彼女はここにもシミが、こっちにも汚れが、科学捜査官よろしく目敏く見つける。単なる丸洗いでは済まなかった。幾ら取られるんだろう…(内心心配)。
「衿も汚れてるわね。それからここは?脇の汗シミかしらね、帯を締めるところだから」ほら、という感じで見せられた。ああ全然気が付かなかったな。参りましたという感じ。
(2)紬;裾切れ、袖口、衿汚れ
「まーこれ、どうしたの?なんでこんなに汚れているの?」
「(そんなにヒドイ代物かな?ドキドキ)知人に貰ったんです。裾が切れているし全体がなんとなく汚れているから、どうにかして貰おうと持ってきたんです」
「解いて洗い張りする他ないですね、あ、これ紬の訪問着だから、お仕立て代が\39,000になりますよ」彼女は鋭い目でまた、汚れ箇所を見つけて、もう一人の店員さんにメモを取らせている。
ガーンッッッッッ!\39,000!うわーそんなにするのー?どうしようかな、止めようかな、でもいつかはしないといけないし、洗い張りって一度はやってみたいと思ってたし、仕立てて貰うんなら、
Lieの体型に合ったもの、好みの物に生まれ変わるだろうし、なにしろ新品同様になるっていうし、よし!やってみよう。
「袖丈はどうしますか?」できればもう少し長くして貰いたいんですがー。店員さんは袖の底を少し解いて中を見る。「大丈夫、今は一尺二寸五分ですけど、一尺四寸まではいけますよ。
でもこれは紬だから、そんなに長くしない方がいいと思いますよ」一尺三寸でお願いした。わーなんかオーダーメードって感じ、ウキウキ。
(3)ウールで木綿の裏地付き;袖口汚れ、全体的にリフレッシュ
「木綿の裏なんて珍しいわね、どうする、替えます?」
「いや、これでいいです。裏が付いているので冬にはホントに暖かいんですよ。ま、さっぱりしたものを着たいと思っているだけですから」
「じゃこれは丸洗いだけでいいですね」あまりにも安物だからか?先の二点に比べ、検品あっさりと終了。
Lieの目からすると、見ても分からなかったシミや気にならない程度の汚れでも、プロの目からすると気になるようで、予想外にあちこち手入れして貰うことになった。「綺麗に使えばきものは
長く保つんです。紬は丈夫だから、たっぷりベンジンで衿、袖口をトントン拭って毎回汚れ落としすれば、いつまでも着られます。早め早めにメンテナンスしておけば、今回みたいに
ドカッと手入れしなくても大丈夫ですよ」
そっか。この度メンテナンスして貰ったら、手入れしながら着るぞーっ。お財布のためにも。
● 初悉皆
家から近いところで、きもののメンテナンスをしてくれるお店(もちろん安く高品質で)が欲しい。ついでにきもの談義も出来て店主もきものが好きでー置いてある物はセンスが良くて
いつか買いたいなと思わせるようなもので……あんまり言ってると虚しくなるから、止そう。
横浜高○屋がいっとき「きものメンテナンス半額フェア」というのをやっていたので、小紋と付下げを出してみた。預けてあとあと返事を聞くと、
「このシミは落ちません。地をさっぱりさせるために丸洗いくらいならできますが、どうしますか」
そうなんだ、落ちないんだ、シミ。まあ一度は綺麗に洗って置かなくてはと思っていたため、丸洗いをお願いする。
一ヶ月半くらい過ぎ、仕上がったと連絡を貰って受け取りに行くと、ギャッ!
前よりシミが目立ってる……。
地の薄黄色は、冴えた感じになって綺麗だ。だから逆にシミが浮きだって見える。付下げもそんな感じだ。地色が綺麗になった分、シミが目立っている。衿汚れは綺麗に
落ちているけど。
ううううううっ(泣)。ま、しょうがないか、着られないほどでは無し。「おきもののお手入れは、先手先手ですよ」本当だ、まさしくそうだ。反省。
● マネキンとデパート
横浜のとあるデパート呉服コーナーでのこと。
素敵な染め帯が展示してあったのでうっとり眺めていると、和服姿の店員さんが来た。月が描かれている今のシーズンにぴったりな帯で、明るく話す彼女、
きものが好きなんです。和服の奥深さに取り付かれ、染め工房や織り元に単独で電話して見学させて貰う、そういうこともやりました。自分で着るので簡単なことは
自分でやりたい、だから和裁をやっている、「くけ」が嫌いだから袷を縫う方が好き、裏を付けてひっくり返せばいいから「くけ」をさほどしなくて済むと言う。
しょっちゅう半襟を付け替えるなんて出来ないから、半襟ごと洗濯機で洗う。うんうんと頷くことが多く、久しぶりに楽しくお話しできる貴重な業界人と会えたと
思った。前から気になっていたことを聞いてみる。念のため周りには聞こえないように。
「店舗で、和服の人と、デパートの制服=洋服を着ている店員さんと、両方いるのはどうしてですか?和服の方は殆どマネキンさんなんですか?」
彼女は周りをささっと見て(Lieはそんなにまずいことを聞いたのだろうか?)「店によりますが、若い店員の場合、呉服の仕事は勤まりきれないことが
あります。ですからマネキン会社から派遣されて来るのです。(中略)本当におきものが好きなんですね、和服業界のお仕事をされればいいのに」
考えなくはないが、昨今の和服業界の斜陽を見るにつけ、食べていくことへの不安がある。
わたしは日給で販売高には関係なくお給料をいただいています。
こんなことまで教えてくれた。ものがたりや季節を、きものだけでなく帯や小物で表現できる和服、こういうところが好きです。春にも着られるピンク色の葡萄柄紬を、
わざわざ秋まで待って着るというお洒落がしたいのだ。
そういう方にこんな染め帯を見ていただきたい、稲に雀、雪持ち植物、紅葉と流水(竜田川?)…うっとり。
朗らかに話してくれる彼女の後ろで、なんとなく洋服店員の目線が気になる。これ以上お喋りしていても大丈夫なのか?と案の定、来た。
Lieの最も嫌いな業界人、洋服男店員(マネージャーか?)だ。彼女になにか耳打ちする。
「それでは失礼しました、では」
ばつが悪そうに、問答無用で去って行ってしまった。お喋りすぎだとか怒られちゃったのかな、大丈夫かな?それからLieのこれからはどう対応してくれるのかな?やっぱりこれも案の定だ。
「いかがですか、そちらの品は?」
彼女がショーケースから出してくれたものだ。ステキですね、いろいろ見せていただいたんで。
ゆっくりその場から離れる。あーあ、追っ払われちゃったよ。これって客以下の扱いだよね、そりゃここに並んでるものは高すぎて、Lieには買えないけどね。
どこにあるんだろうなあ、サラリーマンじゃない、本当にきものの好きな店員(願わくば男性)がいる和服のお店。
● 店員イヤなバージョン2
センスが好きな銀座のとあるお店。いつものようにブラッと寄って、いろいろな紬を見て(鑑賞して)いると、あまりソリの合わない彼女が寄ってきた。お約束のごとく、
「これなんてこの値段では絶対に無いです、お得ですよ」と琉球絣を出してくる。
「(げっ15万!確かにこれは、この値段ではどこにも無い良いもののように見えるけど、そんなお金、無いよ。しかも仕立て代別でしょう?)とても素敵ですね」
「いつもおきものですか?」
「会社が無い休日とか、会社から帰ったあとは」
「偉いですね〜」別に偉くないさ。業界人でしょう、自分も着たらいいじゃん
他の紬、帯を見ていても、ひたすら背中にぴったりついてくる。うざっー。
「来年の○月からの分割でも大丈夫ですよ、頑張ってみません?」
「いや、もうしばらく分割払いはしたくない」
「人間思い切りも必要ですよ、それはすぐに無くなりますよ」
おっ不動産屋がよく言うセリフだぞ、それ。そうか、きものは賃貸物件みたいなもんか。
「お願いしますよ、仕立てましょう」
とうとうお願い作戦に出た。そうとうノルマがきついんだな、この店。きもの姿の二人の店員は、ここまでしつこくないし、割と放って置いてくれるんだけど、
なんでだろう?洋服姿=正社員、和服=単なるマネキン、こういう図式なのか?こういった洋服店員+和服店員の組み合わせ、他店にもよくあるんだが、どういう仕組みに
なってるんだろうか。
どんどん必死の目つきになってくる彼女、コワイ。ではまた!と去った。あーあ、次に行きにくくなっちゃったじゃない、年末にセールがあるって聞いて楽しみにしてたのに。
● 襦袢できた!
電話で尋ねたら、出来上がっていますよとのことなので、大喜びでお店へ。そう、待ちに待った「絹の緋襦袢」が出来上がったんだ。見せて貰うと、ああなんと。
緋色の地にパッキリと白い衿。美しい色合いだけでなく、官能的な手触り。これ、私が着て良いんだよね、私のものだよね?
嬉しくて嬉しくてニコニコしていると、店員さんも「綺麗ですねー」と笑いかけてくれる。綺麗に箱詰めしてくれたものを意気揚々と持って帰った。
勿体なくて着られないけど、いつか勝負(?)の時のために大切に取っておこう♪
● 大島と結城
さて大島と結城。きものの二大ブランドですね、確かに大島の艶のある黒、美しいです。Lieも新品大島と古着の結城単持ってるけど、あまりにも周りが大島を
「いいもの」「憧れもの」というので勿体なくて、せっかく持ってるのに一度も着たこと無いです。こっちの方がよっぽど勿体ない。
結城は去年洗濯機で洗ったらバリバリになったけど、この前着たら、すぐ柔らかく温かい感じに戻って、着やすかった。
紅花紬もはんなりした色づかいで素敵だし、郡上紬も質実剛健で良い、大島や結城以外にも、素敵なものはたくさんあると思うんですよ。
個人の好みにまで、とやかくは申しませんが、業界人がこぞって「大島」「結城」をブランド扱いするのが、気にくわないの。
いろんなものに触れた上でヴィトンってやっぱりいいわね、というのは分かるけど、最初からヴィトンだからいいわねっていうのは、感性が錆びてると思うんですよ。
しょうもない大島に、大島だからととんでもない値段を付けてごり押し売りする、そういう業界人に対抗するためにも、ひたすらいいものを見続けようと思う。
「本物の結城を見分けるための、証書の見方」なんてのが、結城なんとか組合のHPにある。「マネされるようになって一人前」っていうのは芸能界だけど、人気者は大変だねー。
● 男性きもの
昔から男性のきもの姿、ものすごくツボでしたね。点数が何10%かは上がるね、間違いなく。
Lieだけかと思ったら、こういうこと言う人、けっこういるんですよ。「きものの男の人、カッコイイよねー」「浴衣を彼と着て歩きたいな」なんて。
浴衣売り場に二人連れで来ている人たち、今年何人かいました。照れながら浴衣をはおり、彼女にどうかな?なんて聞いている姿、微笑ましかったな。
男性のきもの姿の魅力、Lieの場合なんといっても“腰”です。貝の口や片ばさみ、神田結びなど、角帯がビシッと、そう、中心より少し左右どちらかに寄って結ばれている時、
まさに見どころです。おおおおーあなた様はどんなお方なんでしょうか?なんてね。
ただでさえ少ない和服姿。呉服業界の男性が着なくてだれが着る?業界の男性諸氏、お願いです。和服を着て、Lieプラス大勢の女性の目を楽しませてください。
● はまり
今、いつもの部屋着(オキナワンきもの)は洗濯中なので、洋服部屋着で書いています。休日が終わってしまうから、次の土日までまた洋服生活だ。あーあ。
きものでお出かけだと、例え近くの公園でもスーパーでも、半襟はどれにしようか、帯揚げはこんなのは合うか、帯締めは……と悩むのも楽しいし、片づけるのもウキウキする。
洋服はもーホント義務。ま、しがない勤め人だからしょうがない。仕事着と思うしかない。素早い行動が取れるしラフに動いても大丈夫だし、合理性ではとても優れている洋服。
でも和服の魅力には叶わないんだよなあー。ある意味現代は、きものを着る人にとってチャンスの時。これから思い切り動くぞ!という時、何となく今日は洋服気分という時には
洋服を着ればいいし、和服の気分の時には和服を選んだらいい。一昔前は高い和服を呉服屋かデパートで買うしか無かったし、オークションもネットも無かった。もっと昔は和服しか
無く洋服なんて選びようが無かった。選択の自由がある現代は、まさに和服生活に打ってつけ!こう思うんです。
西に良い店があると聞けば訪ね、東に展示会があると言えば地図を広げて行く。きもののためなら出かけることを厭わない。Lieの住んでいる場所の都合上、もちろん首都圏のみだけど。
友人と会うのも最近は和服ばかり。相手が否定派だとお互い不幸なので、あらかじめ聞きます。「きもので行っても良い?」
幸運にも、今までイヤだと言われたことは一度もなく、喜んで貰っています。Lieのきものハマリ具合を知っている人たちだからかな、良かったあ。
● 待ち遠しい
ずっと緋色の長襦袢が欲しかった。片っ端からデパートで見まくったけど、どっこも置いていなかった。
「最近そういうの着る人いないんですよねー」「淡い色の方が無難ですよ」「どこも置いてないですよ」うう、悲しい。
こんなLieを救ってくれたのは、やっぱり日本橋のあのデパート。しかも小桜模様、綸子地、赤梅模様が散った可愛いもの、選べるのだ。かつ、セールで正絹なのに大安売り。
本当になんて頼れるお店なんだろう。最後の最後まで「洗えるシルックタイプ」と「正絹」どちらにするか悩んだけど(値段はどちらも似たようなものだった)、店員さんの
「きものがお好きでよく着るということですので、そういう方は正絹の肌触りを満喫された方がいいと思います」この言葉で絹ものに決めた。
誂えだーあー楽しみ!正絹ならではの柔らかい肌触り、暖かくてしかもべとっとしない優れた機能性、絹を肌に付けると肌がきれいになるって言うし、もう一日千秋の思い。
きものの楽しみは「待つ」。こんなところにもあるのかも知れない。
● 店員イヤなバージョン(Lieの陰の声付き)
市や展示会は基本的に大好きだ。たくさんのきものや帯、色や文様がこぼれる様は、本当に雅やかなうっとり世界。なのにいるんです、こんな店員。
横浜高○屋リサイクル市「なが○ち屋」コーナーでの出来事。いろいろやり取りがあった後、
Lie「私は体が太めなので、裄よりも身幅が心配なんですよ」と言いながら、紅型を手に取る
店員「それは幅が細いわね」と言って巻き尺を当てる。確かにLieには細くて合わない
Lie「本当ですね、あら残念(もともと買う気は全然ないんだが、一応)」
店員「大丈夫よ、内側を左端まで取らなきゃいいんだから」>>やったことあるぞ、その着方
Lie「でも、裾が乱れやすくなるんですよね」
店員「そうね、私たちは毎日見てるから、見ただけでこの身幅は細いとか分かるけどね」>>あっそう。それで?きものはこれというのがないので、帯を見ていると
店員「それなんか安いわよ、買って行ったら?博多よ。普通この値段では無いから」>>げっ趣味悪いー、成金おばさんみたい。
「それいいなと思って取って置いたけど、お客様に出すことになって」>>いやいや譲りますよ、これ要らないから
店員「この前上野松坂屋で博多を二本買ったんだけど、十五万と二十万したのよ、ここにあるのは安くていいわ」>>この金持ちめっ!あー機嫌わる。
店員「作家ものなんて百万するんだから」>>どこのバブルの話だそれは?今時そんなのあるんかい。
なんとかこの場を離れて紬を見ていると、他の店員が。
店員「それは染め大島ですよ」>>聞いたことあるけどどんなもの?
Lie「大島って生地の名前ですか?それとも手法ですか?」
店員「糸の作り方、織り方の名前よ。何度も何度も染料にくぐらせて」
Lie「ああ、車輪梅で染めて、泥田で反応させるんですよね」
店員「そう車輪梅の汁で煮て、知ってます?車輪梅って」>>だから今、私が言ったろうが!この後もそこらへんの本に書いてあるようなことをとうとうと喋る店員。
業を煮やしたLie「まあ私には関係ない商品ですから、あまり馴染みが無くて」
何か気に入らなかったのか店員「関係ないって、大島はきもの好きの人は必ず行き着くきものなんですよ。大島、結城って言えば憧れのものなんです。(Lie:そんなに言うほどのもんか?)
今のうちから勉強していけばいいのよ」>>客に説教するとは良い根性してるじゃねえか
Lie「いやいや、値段的に、私には関係ない商品だということです」
店員「分割払いもできますよ……(以後、失念)」最悪の気分だと思っていたら、さっきの金持ち店員が。
店員「あそこの売り場に、サイズが大きめで一万のがあるわよ」見るとセンスゼロで触り心地が悪い、典型的なポリもの。こんなの薦めるからポリが悪く言われてしまうんだ。
別に安物狙いな訳じゃないんだ。納得すれば、自分のセンスに引っかかれば、偽物大島でもベトナム(で縫製された)結城でも、本物の銀印博多でも、お買い得ポリでも、買うさ。
あまりにも納得できない商品プラス接客だからアタマに来るんだ。最後にご親切にもLieの帯を直してくれたよ。
「アラちゃんとお太鼓になってるじゃない。でも上を平らにしないとね」と言いながら。ムカムカ。
なが○ち屋、店員教育し直せ
● 店員好きバージョン
上に書いた横浜高○屋きもの市の隣のコーナー、た○す屋での出来事。
店員「いらっしゃいませ。いつもきものをお召しですか?なにかお稽古でも?」
Lie「いえ趣味で着ているんです、母や祖母のお下がりを。紬が多いのでたまには柔らかものはどうかと思って、今日来たんです」
店員「そうですか、たくさんありますから、ごゆっくり見て行って下さいね」と去る
これはどうかなーと体に当てていると、
店員「そういう華やかな色もいいですよね、きものは好きですか?」>>そりゃもう、ハマってます
Lie「大好きです……(以下、きもの談義が続く)」話していて楽しい店員さんっていいなあ〜。結局ここのた○す屋では何も買わなかったけど、帰りに横浜ポルタ店に寄り、帯揚げを買った。
よく寄るせいか、店員さんもお久しぶりですと話しかけてくれる。きもの、帯揚げ、帯締め、帯の色あわせって難しいけど楽しいですよね〜なんて。
やっぱり商売は“人”がやるんだな、と改めて感じた。ところで帰りにこのポルタ店でも、また帯を直された。この店員さんは顔見知りだし、全然イヤじゃないけど、さっき直してくれた
なが○ち屋の店員の直し方って、実は変だったんだろうか?こう立て続けに直されると不思議
● 横浜高○屋でお抹茶
横浜高○屋きもの市の帰り、呉服フロアに寄ってみた。ここの特選コーナーは本当にお上品で値段も高価格。目の保養にはなる。見ると店内で略式のお手前をしているようだ。
日本舞踊でもお茶でも、伝統芸能をしている人は、動作がなめらかで美しい。外で眺めていると「こちらにお座り下さい」と誘われる。
「私、お茶はなにも分からないんです」「いいんですよ、一服していって下さい」わーラッキー!きもの市で歩き疲れていたのよね〜。
小桜模様の懐紙に乗った小判形の饅頭・黒文字添えを頂いているうちに、お薄を頂く。紅葉模様の美しいお茶碗に入っていたお茶は、ほどよく温くてとても美味しかった。
じっと見ていると、さきほど終わったお手前をもう一度見せてくれた。なんとなくたどたどしい気がするけど、茶器のお清めからお茶を点てるところまでの一連の動作、
流れるようでうっとりとする。もう一服いかがですか?なんて言われてもちろん頂いた。
先生なのかおっとりして上品なご婦人と、親切そうなご婦人二人が、お茶は楽しいですよ、なさればいいのに、きものを着る機会が増えますよと言う。確かにそうなんだけど、
私は普段にきものを着ていたい、わざわざそれ用の機会というのは、あまり必要がない。私はお茶はなにも分かりませんが、動作が綺麗ですね、お茶碗の一番綺麗なところを
私に見えるように持ってきていただいてとても嬉しかったですとお礼を言うと、そんなところを分かって下さるなんてありがたいことですと言われた。
こういう温かなやり取りが、お茶の精神というものなんだろうなと、ゆったりした気持ちで帰宅することが出来た。やっぱり伝統文化は素晴らしいわ。
● 直してくれて…
都内一、呉服関係の売り場面積が広く、沖縄もの専門店があるという、池袋東武デパート。どんなものだろうと行ってみました。
予想していたよりも小さな専門店舗で、沖縄もの、西陣織などが見られます。Lieの予算を思い切り突破していたせいか、期待していたほどの
ワクワク感は無かったな。きものを着ている店員が二人しかいなかったのもつまらなかった。と、ブラブラしていたその時
「綺麗に着ているのね〜」と言いながら、背後からLieの帯を直している店員さん。ありがたいような、どっか崩れているのかなと心配になるような、
フクザツな気持ちになりました。だって初対面なんだもん、この人とは。もちろん彼女にはお礼を言いましたが。
洋服では絶対にあり得ない、きものならではの一コマでした。
● 憧れの絞り
日本橋三越で絞りの訪問着が売っていた。意外にお手頃なお値段(と言っても買えないけど)で、お願いして羽織らせて貰った。
Lie「絞りは素敵なんですが、太っているのが目立つんですよねー」
店員「着付けによって、そういうこともないですよ(以下、簡単に着付けをしてくれる)」
鏡を見ると、ああやはり。これはほっそりとしている人のためのきものですね。洋服に比べ、体型の弱点を隠してくれる素晴らしき衣服、きもの。
しかーし、その力も及ばないレベルがあるんだということに、この時気が付いた。すらっと柳腰美人を目指して、がんばるぞー、今年こそは(泣)。
● 洋服の店員
きもの売り場できものを着ていない店員=きもの業界最大の謎。理解できないよ。そんな店では絶対に買わない!と言いたいところだけど、殆どの店、そうだもんなあ〜。
こっちはきもので店員が洋服。笑っちゃうよホント。なんか言ってきたら、一応聞くフリするけど、馬耳東風決めてるもんね。信じないよ洋服の店員は。特に男性の店員。
男女の違いがある上に、衣服まで違う。接点がまるきり無いね。重たいものを運ばなきゃならない、車でこれから出かけなきゃいけない、体調が悪い(店員が語った実話)、
いろいろ理由はあるんだろうけどね、せめて半纏くらい羽織って欲しい。それも出来ないって言うなら、なんできもの売り場にいるの?
● サイズ
生まれて初めて“誂えもの(帯)”を手に入れた。思えばお下がりや古着しか無かったから、今まで着るのに工夫が要った。Lieは胴が太いので、大抵前帯にうまく柄を
出せなかった。この度の帯は、ごく普通に締めれば綺麗に前に柄が出るし、お太鼓も綺麗に決まる。感動……。
「和服は多少サイズが違っても問題なく着られる」「いややっぱり自分のサイズにした方が着やすい。誂えるべし」どちらも正論。Lieとしては、まずは着倒しても
惜しくないお手頃なもので着慣れて、それから誂えるのがいいと思う。着慣れると「見る目」「自分なりのこだわり」が出てくるから、その時こそ自分の意見で自分好みに
仕立てて貰える筈だ。マイサイズの有り難み、それまで苦労=工夫しながら着てきた紆余曲折があるから、よりいっそう深いものに感じることが出来た。
でも工夫して着るも楽しいんだよね。奥が深いもんだなー。
● 裸足
あっつい日に何を履こうかなーと思うけど、夏用履き物は下駄しか持っていない。つまり、足袋を履くなら草履、しかも冬物、を履くしかない。
下駄に足袋ー?なんか合ってない気がする。時代劇を見ると、けっこう裸足に下駄の組み合わせが多い。特に違和感もない。
よし、決めた。今日は沖縄的対丈きものに博多半幅献上帯、裸足に下駄だ!夕方からのお出かけだし、浴衣チックでもいいや!
ああ涼しいーっ。もう足袋は履けないよう。横浜クイーンズスクエアをこれで闊歩したけど、最高だった。海風も気持ちいいし。ふふーん(ゴキゲン)。
● 帯ずり落ち
このお気に入りポリ絽も、もうしばらくさよならだと思い、今年の夏最後に博多半幅献上帯を貝の口に結んでお買い物へ。ずんずん歩くと後ろから知らないおばさまが。
「帯が解けてるわよ、結び直さないと」
彼女はなにやら結んで、先端を巻いてあるところに突っ込んだ。背中が見えないので、どんな風になっているか見当も付かなかったけど、Lieはありがたくお礼を言って立ち去った。
連れが「なんか変だよ。トイレ行って見直す?」と言ってくれるが「いーの、いーの。落ちなければ。さ、行こ行こ」とそのまま歩く。そうそう知らない人は分からないもんよ。
と高をくくりまくりで横浜そごうへ。連れがしきりに「大丈夫?直す?」と言ってくれるので、そんなにとんでもない結び方なんだろうかと一瞬不安になったが、ま、いっかと
生ジュースをごくごくして暑気払いした。家に帰って鏡を見てみると、ぐるぐるに捻って先っちょを帯に突っ込んでいる不思議な結び方。いやに男っぽい感じ。この上から
袴を付けるとちょうど似合うかも知れない。人前で帯が解けるのはこれで二回目。一回目は長さが足りない帯を無理矢理結んでいたからで、今回は短めに結んでしまって
直すのが面倒なのでそのまま出かけてしまったから。いーのいーの。いきなり脱げることは無いし、道ばたの目立たないところかトイレで直せば良いんだから。気楽が一番!
● 何故ポリ悪者?
なんてきれいな布なんだろうと、うっとり半襟を見ていたその時、帯揚げ売り場で。
女性1「まあ、真っ赤で綺麗ねえ、この帯揚げ。これにしようかしら」
女性2「わたしもさっきそう思ったの。でもそれポリよ。だから駄目。正絹はこっちよ」
女性1「……これポリなの?でもそう見えないね。それにそっち(正絹)はあんまり色の種類が無いじゃない」
女性2「そうね、でもそれ(ポリ)は駄目だから」
えええええーっ!自分の「目」「感覚」じゃなくて、「氏素性」を優先するわけ?
何故にそれほど、見た目分からないほどなのに、ポリを嫌うんじゃ。夏は洗えるし清潔ですよ。色落ちもそれほど心配ないし。
そんなに格の高い集まりなんか?ポリ反対の会に出なきゃならないとか(んなアホな)?あまりにも可哀想じゃないかあ、その帯揚げ君。絹でもあんまり見かけない、
しっとりとした紅色で綺麗だったよ。食わず嫌いだと思うんだけどなあー。特に、東レのシルックなんて下手な絹よりずっと、高品質なんだけどね。
その時Lieが買った半襟は、洗える夏の強い味方ポリ。微妙な薄桃色で顔写りが良くなりそうなの。大切に使うからね、ポリ半襟君。
● 若い店員さん
またまた店員さんネタ。店員の中で若い人というのは、大抵二極分化されます。
・商品知識が薄く、売っているのがきものだかチョコレートだか分からなくなるくらい、あっけらかんとしているバイト感覚の人(本当にバイトかも知れない)
・商品知識があり、ノルマきつい?と勘ぐりたくなるくらい、熱心に営業する人
リサイクル品を除き、きものは高額商品です。居酒屋かファーストフード屋かお買い得洋服屋のような、威勢の良い友達感覚マニュアル接客では、きものは売れない。中高年の
店員さんの方が、意外にしつこくなくはんなりとしているので、買う時はそういう店員さんに話しかけるようにしている。
でもいつか、若いのにしっかりした、素敵な店員さんに出会えるかも知れない。そういう人に会ってみたいものだ。
● カリスマ店員って金持ち?
呉服屋、呉服売り場で「この人、売り場責任者か店長かも」という、一種の貫禄と愛想の良さを兼ね揃えている人に出会うことがあります。
そういう人とお話しできたらラッキー!なにしろ向こうは和服のプロ。状況が許せばずっと聞いていたいくらいの話題を提供してくれます。現在和服業界は、斜陽×昨今の不景気
=売り場に余裕がある(暇というと言葉が悪いし)。だから話をしてくれる?いえいえ彼女(彼でも良いんですが)はきものが好きなんです。
聞くと彼女が着ているきものは自前ということなので、毎日ともなると経済的に大変なはず。だけど彼女たちはたくさんきものや帯を持っています。やっぱり好きなんですね。
曰く「私もこれと色違いの帯、この前買ったんですよ。もう今年は買わないって周りにも言ってたのについついまた買っちゃったの」などと仰います。スゴイ!羨ましいを
通り越して『こういう着倒れな人もいるんだな〜』と感心します。こうなると、こちらの買う気はまったくと言っていいくらい失せ果ててしまいますので、何言われてもへっちゃら。
純粋にきものの話を楽しむことだけに専念できるから幸せ。
何も買わなかったのにお茶まで出してくれた、銀座「A」さん。お言葉に甘えて長居して済みません。今はお金がないから無理だけど、いつかきっとそちらで誂えられるように頑張るから待ってて♪
● 銀座もとじを訪ねてみました
和服業界人の方々には、アタマに来ることが多いのですが、中にはきものが好きでこの仕事をしていますっていう人にも、巡り会えることがあります。
『ごめんなさい、今日はウインドーショッピングだけで、買うつもり無いんだけど』と思いながら、他にきものの話を出来る人がそうそういるわけでは
ないので、つい話し込んでしまいます。
男のきもので有名な、銀座もとじさんがそういうお店でした。今年の6/1にオープンしたという「悉皆」を訪ねると、銀座松屋の裏手のビルの中、小さなお店でした。
外から中を窺うと、にっこり笑って「どうぞ」と言ってくれるので、勇気を出して入ってみました。
「親・知人から譲って貰ったきものを、手入れして着たい」「汚れを落としたいけどどこへ持っていって良いか分からない」今、そういう声がとても多いそうです。
確かにLieにも何着か困ったきものがあります。着たいけど古くて汚れているとか、気に入っているけど少し小さいから直せるなら直したいなど。
だけど、どこへ持っていったらいいのか見当も付きませんでした。
なんとなく頼もしそうな、お店の二人。関係ないけど「連れの浴衣を仕立ててみた」「自分のは異常に衿がつれてしまう、こんなものか?」「袖丈が一様に
一尺三寸なのは(または、そうしなさいと言われるのは)つまらない」などと話が出来て嬉しかったです。問題のきもの、持っていって相談してこようかな。
「悉皆」のすぐそば、「男のきもの」にも勇気を出して入ってみました。小綺麗な店構え、銀座なのに極めてリーズナブルな価格(とは言ってもLieには買えませんが)。
聞いて触って納得のお値段だと思います。いつの日か連れと一緒に、連れのきものを見に来たいなあ〜。
またすぐ隣の「和織」もこだわりの逸品揃いのお店。安物はありませんが、さりげなく美しい、織りのきものの魅力を最大限に生かしたお店です。生まれて初めて触った綿薩摩。ごく細い綿糸で織られているとは聞いていたけど、
このしなやかさ、木綿じゃない。纏ったらどんなにか心和むだろうというくらい、なめらかな肌触り。うーん、感激。
良いものを見て触ってお勉強できる貴重なお店。久々にワクワク出来るスポットを発見できて良かった♪
● 道を空けてくれてありがとうございます
きものを着ていてイライラするのは、雨の時よりむしろ風の強い時。裾がまくれ上がってしまい、“公開大サービス”状態になってしまいます。
(見る人いるのかって気もするけど)
小股でさささっと歩いていると、けっこう道を譲って貰えます。特に男性。
ありがとうございます。素直に嬉しい。
● おサワリ禁止!
きものを着ていると「ステキね〜」と誉めて貰えることがあります。喜んでいるとイキナリ!「これはなに〜?」とか言いながら、袖を触ってくる人がいるんです。
たいていの場合、中高年の女性。
びっくりしますよ、洋服じゃ考えられないでしょ。他人の服を触るなんて。
苦々しい気持ちだけど、触られちゃったらしょうがない。きちんと「○○紬です」「ウールです」「絹芭蕉です」と答えてあげます。
そう、そういう人たちって「このきものの素材は何なのか」を確かめているんです。きゃー果てしなく失礼!!
「まあ、さすがに○○紬ねえ、しなやかだわ」とかなんとか話のタネになるような、高価で良いおきものを着ていれば、その場も多少盛り上がるかも知れませんが、
Lieはそんなの殆ど持ってない。困ってしまう。ってどうして私が困らなきゃならないわけ?
和服の業界人にもいるんだ、こういう人。せめて一言ことわって欲しい。ま、ことわられてもイヤなんだけどね。
● 横浜高○屋呉服売り場店員のスルドイ目
デパートだけあってお財布には優しくないが、たまに楽しいイベントをするので、目を肥やすのも兼ね、たまに出かける。
六月になったばかりのある日、半襟は、まだ「絽」「楊柳」などの夏素材にして行かなかったLieへの一言!
「六月はもう初夏ですから、半襟は夏物にしないと」
わーってるわい!だって持ってないんだもん、夏物なんて。無いから買おうと思って来たんじゃない。
親切で言ってくれたのかも知れないけど、夏半襟、他の店で買いました。