気に入った物が無いなら、高くて手が出ないなら、作るしかない。
このシンプルな定理に気が付いてしまったLie。「当てにせず待ってるよ」と連れの冷たい視線を感じながら、和裁経験ゼロで挑む、無謀な手作りきもの!
● 布を買う(四月)
普段着には木綿が良さそうなのはよく分かった。確かに着分の値段は安いし。でも仕立て代が高いなあ。原材料の2〜3倍はするからバカバカしい。
そうだ、高校の授業で「浴衣」を縫ったじゃないか。単なら浴衣の縫い方で特に問題ないんじゃないか?でも縫ったのって何年前なんだろうか……。
有隣堂で和裁の本を探す…無い。amazonで探す…絶版!?ひえー、やっとの思いで、手芸屋で浴衣の縫い方を見つけた。あ、裁縫箱も買わないと、それからアイロンとアイロン台も……。うう重たい、今日のところはここまで。でも、何だか大変なことになってきた気がする
いよいよ生地を買いにユザワヤへ。
授業で使うのか浴衣の反物、レトロ調の木綿地、のれんに良さそうな藍染地、迷った挙げ句に“会津木綿”12mと“阿波しじら織”110cm幅4mを買った。ちゃんと最後まで縫い上げられますようにと、連れに「夏には浴衣をプレゼントしてあげる」と言った。これで引っ込みつかなくなったか?

会津木綿 阿波しじら
● 布を水通しする(四月)
「木綿地は縮むから、水に通して縮ませてから裁断、仕立てをするべし」とある。洗濯機に入れて軽く脱水するところまでやる。会津としじら、両方とも色落ちは無かったので、一緒に作業した。
「生乾きでアイロンし、地の目を整えるべし」とあるので、その通りにする。うううー12mって長い。アイロンを掛けても掛けても終わりが来ない。「その際、染めムラ、織りムラを確認し、難があったところに糸で印を付け、仕立てた時に面に出ないようにする」会津の方に一箇所発見。印付け完了。
その後は物干しに掛け、一昼夜乾かした。本来は、生地が自然に伸びた状態で裁断、仕立てをするべきだから、物干しに掛けるのは無駄なのでは?と思ったが、しょうがない。完全に乾くまでアイロンを掛けていたら、何日あったって日が足りない。でも布の触り心地とそこはかとない匂い、いい気分になった。裁断は恐いので、取り敢えずこのまましばらく放っておくことにする。
● 裁断(七月)
モタモタしていたら花火大会の季節になってしまった!!もう余裕は無い。とにかく切ってしまおう。そうすれば縫うしかないんだから。
ユザワヤで浴衣の型紙が売っていたので、買う。男女兼用型紙ということで、連れの分を使えば、わたしの分は多少丈など直せば、そのままの型紙で大丈夫。
これも四角い布を四角いまま縫って使うという、柔軟性のある和裁だからこそだ。洋裁は体に合わせて裁断し縫うから、こんな芸当は出来ない。ああ素晴らしきかな和服!
と感動も後目に、まずは連れの分を裁断。連れは浴衣が無いから最優先(最悪、わたしは他の木綿きもので代用すればいいし)。洋服地だから布が余ってしょうがない。
自分の分は連れのママに教わりながら裁った。反物だったから超カンタン!衿、袖二枚、身頃二枚、おくみ二枚と、必要な寸法が確保できるように竹尺を当てて
反物を畳み、端を切るだけ。和服は布七枚で出来るんだな、あっけなさに感動。さ、次は縫製だー!
● 縫製(七月)
チャコが無いので印付けはへらと色鉛筆を使った。連れの布「阿波しじら」はへらでは印が付かない、クーッ(涙)。いよいよ縫う。チクチクチク…。あ!
これが結構楽しい。「1cm幅の中に縫い目は3つ入るように」「曲がらないように」とか心得は頭にあるけど、どうせ「キセ(縫い目を保護するため、洋裁のように縫い目を割らない技)」
を掛けるんだから、多少曲がったっていいわと気が楽。あとはランナーズハイならぬ和裁ハイが出てるんじゃないかというくらい、ひたすら縫う。
連れは出っパラ気味なので、採寸通りに丈を決めると足りなくなるだろう。途中で羽織って貰い、丈=裾の折り返し幅を決めた。
そうそうせっかくの「オートクチュール!(誂え)」だもんねえ、体に合わせて作らないと、自作の意味がないよね。
(ずいぶんと余裕かましている。このせいで自分の浴衣はとうとう間に合わなかった。クーッ(また涙)!)
洋服地のため、裁ち目が多い=ほつれの始末が必要な箇所が多い。ほつれをかがるのは面倒すぎるので洋裁で使うバイアステープで処理(写真参照)。
「痛っ!」「ぎゃっ刺した!」と痛い思いもしながらどうにか縫い終え、花火大会には間に合った。ホホホ、やれば出来るじゃん、私だって!ということで見て!
まだ帯を締めていない連れ。羽織っている感じもなかなかナイスな和服マジック!
次は自分の分。女物は衿を抜く(=曲線が増える)ので男物より難しかった。衿が異常につれるし、ぼってり膨らんでしまう。助けて!いろいろ調べたけど
どうしたらいいのかよく分からない。しょうがないのでアイロンで強引に押さえ、どうにか形になるようにした(根本的解決にはなっていない)。
途中で羽織ってみると、何だか打合せが浅くて、胸が窮屈。えーっどうしてーっ?ちゃんと採寸したじゃん。印付けは適当だったけどサ(この生地もきれいに
印が付かなかった)。調べると「木綿きものは滑らないので着付けが難しいです。打合せを深く取り、胸をしっかりと覆うのが大切。抱き幅を少し多めに取ると
いいです」ときものサロン夏号に出ていた。
おお、抱き幅ね。こういう時体に合わせて裁ってしまわない和服は素敵。また解いて縫い直せば良いんだから。でも…解くの?もう縫ってしまったのに?
取り敢えずイヤなことは先送りする性格のため、どう転んでも影響のない「袖付け」をする。袖が付き、なんとなく出来上がった気がする私の木綿きもの。
袖丈はオートクチュールの醍醐味を生かし、長めの一尺四寸五分(約56cm)にした。写真は「振り」をくけているところ。表に出る方は小さな縫い目、
裏は1.5cmくらいのザクザク縫い。こんなのくけとは言わないけどね、いいんです。丈夫で見た目が綺麗なら。
羽織ってみるとやはり打合せが足りない。衿が何となく変。直すしか無いと思う…。
今年の花火大会は、連れママから貰ったお気に入りの久留米絣(普段にも着ている)で行くことにした。大丈夫、木綿は一年中着られるんだから。まだまだ
先は長いんだから。いつかヒマが出来たらちゃんと直すんだから。イツニナルノダロウカ>陰の声